「オニババ化する女たち」
女性の身体性を取り戻す
三砂ちづる著
光文社
女性として生まれてきたことの意味と、日本人女性としての自分について考えさせられた一冊でした。
1970年代に盛んになったリベラル・フェミニズムのおかげもあって、社会においての女性の立場は大分強いものになったと思うのですが、一方で女性の女性としての特性とか機能といったものが軽視されていくような一面もあり、そこを著者が独自のの調査や研究に基づいて指摘しています。
世代をつないで、どうやって気持ちよく生きて、スッと枯れていくか。
どうやって満たされた一生を送るか、ということを考えるとき、やはり、女性はからだに向き合うしかないのだと思います。(本文より)
今どき「女は○○するべきだ」とか「早く結婚して・・・」とか口にしようものなら、セクハラ!とまでも言われかねない世の中で、猛反論されそうな内容もあるのですが、あえて世の中の風潮に真っ向から反対するようなこんな提言は普段なかなか触れることもなく貴重です。
それに、興味深いのは本の前半、日本人女性が伝統的にどのような身体感を培い、受け継いできたのか、この辺りの著者の幅広い調査と考察は、感動ものです。
sachie