「怒らないこと」
スリランカ初期仏教長老
アルボムッレ・スマナサーラ
サンガ新書
最近読んだ本の中で、特に心の奥まで響いてきた本です。
まず、このタイトルがとても好きです。
1ヶ月ほど前にこの本を読んで以来、心が波立つとどこかから「怒らないこと」という言葉が浮かんできて、なぜかその言葉だけで、ホッとします。
素敵な言葉だと、思いませんか。
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震災から1ヶ月あまりが経ち、いろんな混乱や不安を感じさせる情報やニュースを見聞きする度に、「外の世界は混乱していますが、では、あなたの心の中はどうですか、平和ですか?」と、問いかけられているような気がする毎日です。
去年、チベットでの修行&巡礼の旅の中で、ある日の瞑想の時間のテーマが「怒り」についてでした。
その時の瞑想で、自分がいかに怒りを多く持っているのか、そしてその怒りの出所がことごとく自己中心的な考えから出てきていることに気づき、愕然としてしまいました。
それから、日々自分の中に沸き起こってくる怒りの感情を意識するようにはしているのですが、未だにその怒りの感情の多さにはびっくりしてしまいます。
小さな「ムカッ」とか「イラッ」というのを含めると、かなりの回数になります。
そして、怒りの出所をたどると、怒りはそのまま自分の劣等感や弱さのあらわれなんだと、気づかされます。
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この著書は、怒らないための、簡単で、完全な方法を教えてくれます。
その方法とは「怒らない」ただそれだけのこと、なのだそうです。
そう聞いただけで、なんだか噴出してしまうくらい、安心してしまいますね。
ただ、怒らないためには怒りについて知っておく必要があります。
「怒り」とは、何か?
怒りとは、ただカッとする感情だけではないようです。
本によると、自分のことを高く評価して他人のよいところを軽視してみること、嫉妬、物惜しみ(ケチ)、後悔、暗い気持ちなども、実は怒りに所属する性質なのだそうです。
私はこの本を読むことで、とても気持ちが楽になりました。
しっかり自分の気持ちを観察して受け止めていくことは、大切なんですね。
近いうちにもう一度、読もうと思います。
sachie