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あれは、忘れもしない、小学校6年生の夏休みのことでした。 ある晩、寝床に入った時にふと、この目の前にある真っ暗な暗闇よりもっと暗い色というのはあるのだろうか?という素朴な疑問から、「果て」とか「限界」というものに毎晩思いをめぐらす日々が始まりました。 暗さや明るさの限界ってあるのだろうか?という疑問から、だんだんと時間や空間についての果てについて考えるようになり、私にとってとても面白い思索の時間となっていきました。 そして、何日目かの夜に突如として気づいた事に、それまでの知的好奇心はなぎ倒され、愕然としました。 いつ始まったとも終わるとも全く分からない、永遠に果て無く続く時間の中で、自分の生命が瞬くようにして終わりを迎え、その後永久に自分の意識というものが存在しなくなってしまうことに。 その時感じた恐怖は何とも形容しがたいほどに激しく、それからというもの、そのことを考えるたびにパニック発作を起こし、正常な思考ができなくなってしまう事態に陥ってしまいました。 このことは、私が「死」というものに正面から向き合って考えていくということを、途方もなく難しくさせてしまっていました。 今から考えると、「限界」とか「果て」というものは、そもそも限定的である自我意識が理解しようとするとエラーを引き起こし、一時的に思考がショートしてしまっていたのかもしれません。 前回の記事を書いたあたりから、それが少しずつ、理解できはじめました。 そこでも書いたように、実存的な問いと恐怖心とは、別物なのだということが、頭だけの理解ではなく体認を伴って理解できたような感覚があります。 そして、やっと、この問題に、清明な意識状態で向き合うことができるようになってきたのだと思います。 ようやくスタートラインに立てたといったところでしょうか。 **** そんなことを、先日母と電話していた時に何気なく話していたところ、母の死生観を教えてもらいました。 面白いのですが、親子でも本当に、死生観って違うのですよね。 母親は、死んだら元の場所に帰っていくのだと思っているそうです。 特に、自分の母親(私の祖母)が亡くなってからは死への恐怖が無くなり、毎日お仏壇に手を合わせるたびに、自分も死んだら母親の元へ行くのだという確信が強まっているのだそうです。 「死んだら元の場所に帰っていく」 この感覚は、私の中にはほとんどない感覚です。 ですが、このような死生観を持っていたとすれば、この人生はどんなにか心穏やかに過ごせるだろうか、と思うのです。 きっと死生観って、本当に人それぞれなのでしょうね。 これから、いろんな人に尋ねてみたいものです。 どれが正しいとか間違っているといったような、正誤を問うものではないのではないかと思います。 ただ、どのような死生観を持っているかによって、その人にとっての人生の意味というものが、全く違って見えてくるということが、ありうるのだと思います。 最後に、いつも愛読している月刊雑誌『致知』の今月届いた号の中で紹介されていた作家の北方謙三さんの言葉がとても印象に残ったので記しておきます。 いかに生きるべきかって問われて、志を持つことだとか、魂を汚さないことだとか、何だかんだ難しいことは言えるんです。 だけど人間は、否応なく志をうしなったり魂を汚したりする。 それでも心の生命力というのは失っちゃいけない。 そのためにはまず食うことですよ。 そういう欲望さえ失わなかったら、這いつくばろうが、何しようが立ち上がれるし、決して負けたことにならない。 生き方の基本というのは、そうやって具体的に考えること。 抽象的に考えないことです。 抽象的にではなく具体的に考えること。 生き方のことについて書いてありますが、これもある意味で死生観だと思うのです。 私も、自分の死を迎えるまでに、自分が心から納得できる死生観を築きたいと思っています。
by ramram-yoga
| 2017-04-17 23:14
| ことば・メッセージ
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