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米国のトラウマ患者に対する心理療法としてのヨーガ療法の実態
先日ヨーガ療法学会宮崎大会にて、トラウマケアの第一人者でいらっしゃるベッセル・ヴァンデル・コーク先生が、「米国のトラウマ患者に対する心理療法としてのヨーガ療法の実態」というタイトルでご講演されました。
その内容をここに少しご紹介させていただきたいと思います。

※講演中にメモをとったものをまとめたものですので、厳密には正確でない箇所があるかもしれませんが、ご了承ください。


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●脅威に直面したときの人間の生態反応と、東日本大震災
東日本大震災後、被災した東北の人たちが静かで受身的であることに驚き、心配した。
なぜかというと、脅威に直面したとき人体内部ではストレスホルモンが分泌され、そのストレスホルモンは人間を動かし、何か行動を起こすように促していくからである。
例えば逃げるとか闘うなど、ストレスホルモンは人間がなんらかの形で外界に働きかけるようなはたらきを有している。
しかし、ストレスホルモンが出ているにもかかわらず、行動を起こさないでいると、そのストレスホルモンは≪内側へ≫働き始める。
それは、ストレスが長年続くことになるということを意味している。

●ヨーガは「自分の身体が安全だ」ということを体験させる手段である
PTSDは、過去に自分が直面した脅威が、今もなお継続していて、今でも自分は危険にさらされていると感じている状態である。
過去のものとなったはずの脅威なのに、PTSDの人たちの≪脳≫は「その脅威はまだ続いている」と理解している。
それに対しヨーガは、「自分の身体は安全である」ということを体験させる効果的な手段である。
なぜなら、トラウマは≪身体に≫深い印象を残すからである。
心の状態と身体の状態は、深く関連している。
また、感情は身体で体験し、理性はそこに及ばない。

●PTSDからの回復に必要なのは「安全」と「自己コントロールの回復」
ヨーガ療法の技法は、プラーナーヤーマ・瞑想・アーサナの3本柱で成り立っている。
アーサナでは、自分の身体は自分のものなんだと感じることができる。
また、マインドフルネスは、脳の“島(トウ)”という部分に働きかけ、変化させることが可能である。
島は、意識と身体をつなげる働きをする部分でもある。
脳幹は、自己制御の核であり、副交感神経と交感神経の2つのシステムから成り立っている。
PTSDは脳幹の状態が悪く、脳幹の状態をコントロールできるようになることは、PTSDからの回復を意味している。
自律神経系の範疇である心拍のコントロールについては、ヨーガが最適であると考えている。
過去に行った実験では、DBT(弁証法的認知行動療法)の群に比べ、ヨーガ療法の群が格段に心拍変動が低下・安定した。

●PTSD回復における心身の意識化の重要性
感情コントロール向上の唯一の手段は、感情の意識化(内受容)である。
また、トラウマには≪肉体的な≫印象付けがあり、クライアントがパニックを起こさずに身体の感覚を感じられるようになることは、とても重要である。
人の気持ちを癒すのに、ヨーガほどすばらしい方法は、ない。



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ヨーガ療法士にとって勇気付けとなる内容であったと同時に、コーク博士の慈愛に満ちたお人柄も垣間見ることができ、本当に聴けてよかったと思っています。
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by ramram-yoga | 2013-04-22 11:40 | 心理学とヨーガ
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